- 未実現利益の消去は棚卸資産の場合しか覚えていない…
- 土地の未実現利益の消去は、棚卸資産の場合とどう違うの?
- アップストリームの場合の未実現「損失」の消去を例題で確認したい!
「未実現利益の消去」というと、何となく棚卸資産の印象が強く、「未実現利益の消去は、棚卸資産のケースさえ押さえればマスターしたも同然!」と思う方もいると思います。
しかし、簿記2級の問題では、土地のような非償却の固定資産を売買した場合についても出題されるため、土地の場合もしっかり押さえておかないと、本番で思わぬ失点につながります。
棚卸資産の場合と土地の場合では、未実現利益の消去の基本的な考え方は同じですが、未実現利益を消去する科目に違いがあります。
土地の場合は「土地売却損益」を使って未実現利益を消去します。
そこで、この記事では、棚卸資産と土地の「未実現利益の消去」の違いを比較しながら、例題を使って一から「未実現利益の消去(土地)」の連結修正仕訳の考え方を解説していきます。
この記事を読めば、「未実現利益の消去(土地)」の考え方を基礎から理解することで、試験でも連結修正仕訳を使いこなせるようになります。
なお、「未実現利益の消去」の全般的な内容や、棚卸資産の未実現利益の消去については、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
「未実現損益の消去(土地)」:土地の原価に付加された損益を消去すること
親会社(子会社)が子会社(親会社)に土地を販売した時に、土地の原価に付加された(上乗せされた)利益や損失を消去すること。
土地の場合も、連結会社間(親会社⇔子会社)で土地を売買すれば内部取引となるため、土地の売買の結果生じた損益(土地売却損益)を消去する必要があります。
棚卸資産の場合は未実現損失が生じることはまれですが、土地の場合は、売却損(未実現損失)が生じることもあります。
また、棚卸資産同様、 未実現利益の消去が必要になるのは、連結会社が土地を保有している場合のみです。
<「未実現利益の消去」の要否の判定>
- 連結会社が土地を外部に販売した場合⇒「未実現利益の消去」は不要
- 連結会社が土地を保有している場合⇒「未実現利益の消去」が必要
棚卸資産の場合と同じです。
「未実現損益の消去(土地)」は「土地売却損益」で損益を消去!
例えば、親会社が子会社に土地を売却した場合、個別上は次のようになります。
- 親会社の損益計算書:「土地売却益」(未実現利益)または「土地売却損」(未実現損失)が計上
- 子会社の貸借対照表:親会社から取得した「土地」が計上(取得価額=親会社の売却原価±未実現損益)
したがって、「未実現利益の消去(土地)」の連結修正仕訳の目的は次の2点になります。
<「未実現利益の消去(土地)」の連結修正仕訳の目的>
- 未実現利益の分、土地の金額が過大になっているので、「土地」(資産)を減らす
- 土地の売買の結果生じた損益を消去するため、「土地売却益」(収益)を減らす(=利益を減らす)
結果的に、「未実現利益の消去(土地)」の連結修正仕訳は次の通りになります。
<未実現利益の場合>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地売却益 | ××× | 土地 | ××× |
また、「未実現損失の消去(土地)」の連結修正仕訳の目的は次の2点になります。
<「未実現損失の消去(土地)」の連結修正仕訳の目的>
- 未実現損失の分、土地の金額が過少になっているので、「土地」(資産)を増やす
- 土地の売買の結果生じた損益を消去するため、「土地売却損」(損失)を減らす
結果的に、「未実現損失の消去(土地)」の連結修正仕訳は次の通りになります。
<未実現損失の場合>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | ××× | 土地売却損 | ××× |
土地の場合は、未実現利益(「土地売却益」)や未実現損失(「土地売却損」)をそのまま消去しているだけなのでわかりやすいです。
「未実現利益の消去(棚卸資産)」との違いは利益消去の方法!
未実現利益の場合で、棚卸資産の未実現利益の消去と連結修正仕訳を比較すると次のようになります。
- 棚卸資産の場合⇒費用(「売上原価」)を増やすことで未実現利益を消去
- 土地の場合⇒収益(「土地売却益」)を減らすことで未実現利益を消去
<「未実現利益の消去」の連結修正仕訳の比較>
棚卸資産 | 土地 | |||
貸方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
仕訳 | 売上原価 | 商品 | 土地売却益 | 土地 |
意味 | 「売上原価」(費用)を増やす(=利益を減らす) | 未実現利益の分、期末商品の金額が過大になっているので、「商品」(資産)を減らす | 「土地売却益」(収益)を減らす(=利益を減らす) | 未実現利益の分、土地の金額が過大になっているので、「土地」(資産)を減らす |
費用を増やすか(棚卸資産の場合)、収益を減らすか(土地の場合)の違いだけです。
パターンは「ダウンストリーム」と「アップストリーム」の2つ!
土地の場合も、棚卸資産同様、「アップストリーム」では消去した未実現損益を非支配株主に負担させます。
<成果連結「未実現利益の消去(土地)」のポイント>
- ダウンストリーム:「土地売却損益」(=親会社の損益の減少)の非支配株主への振替は不要
- アップストリーム:「土地売却損益」(=子会社の損益の減少)の非支配株主への振替が必要
棚卸資産の場合と同じです。
ここでは、未実現利益(売却益)の場合と未実現損失(売却損)の場合に分けて、アップストリームの連結修正仕訳を解説します。
未実現利益の場合の連結修正仕訳(アップストリーム)
未実現利益(売却益)の場合のアップストリームの連結修正仕訳は次の通りです。
<未実現利益の消去>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地売却益 | ××× | 土地 | ××× |
<非支配株主への利益マイナスの振替>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
非支配株主持分 | ××× | 非支配株主に帰属する当期純利益 | ××× |
貸方の「非支配株主に帰属する当期純利益」は、非支配株主にとっての利益のマイナス(=親会社にとっての収益のプラス)を表します。
利益のマイナス(「未実現利益の消去」の仕訳の借方「土地売却益」)を非支配株主に負担させていることになります。
また、借方の「非支配株主持分」は、非支配株主にとっての費用の計上により、非支配株主持分(非支配株主にとっての利益剰余金)が減少したことを表します。
非支配株主持分は純資産項目なので、借方にあるときは、(非支配株主の)純資産が減ったことを表します。
未実現損失の場合の連結修正仕訳(アップストリーム)
未実現損失(売却損)の場合のアップストリームの連結修正仕訳は次の通りです。
<未実現損失の消去>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | ××× | 土地売却損 | ××× |
<非支配株主への損失マイナス(=利益)の振替>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
非支配株主に帰属する当期純利益 | ××× | 非支配株主持分 | ××× |
借方の「非支配株主に帰属する当期純利益」は、非支配株主にとっての利益のプラス(=親会社にとっての損失のプラス)を表します。
損失のマイナス(=利益)(「未実現利益の消去」の仕訳の貸方「土地売却損」)を非支配株主に配分していることになります。
また、貸方の「非支配株主持分」は、非支配株主にとっての利益の計上により、非支配株主持分(非支配株主にとっての利益剰余金)が増加したことを表します。
非支配株主持分は純資産項目なので、貸方にあるときは、(非支配株主の)純資産が増えたことを表します。
「未実現利益の消去(土地)」の例題(アップストリーム)
例題
<×1年度>
- ×1年度にS社(P社の80%子会社)はP社(親会社)に原価750円の土地を1,000円で販売した。
- P社は×1年度末(×2.3.31)現在、S社から購入した土地を保有している。
<×2年度>
- ×2年度にP社はS社から購入した土地1,000円を1,300円で外部に販売した。
×1年度と×2年度の未実現利益に関する連結修正仕訳を答えよ。
<「未実現利益の消去(土地)」の連結修正仕訳の目的>
- 未実現利益の分、土地の金額が過大になっているので、「土地」(資産)を減らす
- 土地の売買の結果生じた損益を消去するため、「土地売却益」(収益)を減らす(=利益を減らす)
ここでは、アップストリームを解説しますが、「非支配株主への利益(マイナス)の振替」仕訳(赤字部分)が追加される以外はダウンストリームと同じです。
×1年度の連結修正仕訳
①×1年度の個別上の仕訳
土地を売買した時のP社とS社の個別上の仕訳は次の通りです。
<P社の個別上の仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | 1,000 | 現金 | 1,000 |
<S社の個別上の仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 1,000 | 土地 | 750 |
土地売却益 | 250 |
②×1年度の連結上のあるべき仕訳
P社とS社の間の土地の売買は内部取引であり、企業グループという一つの組織で見ると、土地を持ち続けていることに変わりはありません。
そのため、「連結上あるべき仕訳」は「仕訳なし(=土地の売買は行われていない)」となります。
<連結上あるべき仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕訳なし |
③×1年度の連結修正仕訳
個別上の仕訳を連結上あるべき仕訳に修正するため、連結修正仕訳を計上します。
<×1年度の連結修正仕訳①(未実現利益の消去)>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地売却益 | 250 | 土地 | 250 |
単純に、未実現利益の金額250円をそのまま持ってきてもOKです。
また、S社の土地売却益が250円減る(=S社の利益が250円消去される)ため、消去された利益(=利益のマイナス)250円を非支配株主に振り替える仕訳も必要になります。
「非支配株主への利益マイナスの振替」は、アップストリームの場合には追加で必要な仕訳なので忘れないようにしてください。
非支配株主に帰属する当期純利益=消去された利益250円×非支配株主持分比率20%=50円
<×1年度の連結修正仕訳②(非支配株主への利益マイナスの振替)>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
非支配株主持分 | 50 | 非支配株主に帰属する当期純利益 | 50 |
貸方の「非支配株主に帰属する当期純利益」は、非支配株主の利益のマイナスを表します。
×2年度の連結修正仕訳
①×2年度の個別上の仕訳
P社の個別上は、土地の原価をS社からの購入価額1,000円と考えるため、P社の個別上の土地売却益は次の通りです。
個別上の土地売却益=外部への売価1,300円-原価1,000円=300円
そのため、P社の個別上の仕訳は次の通りです。
<P社の個別上の仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 1,300 | 土地 | 1,000 |
土地売却益 | 300 |
P社の土地の原価は、S社からの購入価額1,000円です。
②×2年度の連結上のあるべき仕訳
連結上は、土地の原価をS社の原価750円と考えるため、連結上の土地売却益は次の通りです。
連結上の土地売却益=外部への売価1,300円-原価750円=550円
そのため、連結上あるべき仕訳は次の通りです。
<連結上あるべき仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 1,300 | 土地 | 750 |
土地売却益 | 550 |
連結上の土地の原価は、個別上の原価1,000円-未実現利益250円=750円と考えてもOKです。
③×2年度の連結修正仕訳
×2年度の連結修正仕訳は、×1年度の連結修正仕訳(開始仕訳)と×2年度に新たに計上する連結修正仕訳の合算で求めます。
まず、開始仕訳として、×1年度の連結修正仕訳の「貸倒引当金繰入額」を「利益剰余金」に置き換えて引き継ぎます。
開始仕訳も「非支配株主への利益マイナスの振替」の仕訳を忘れないようにしてください。
<開始仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
利益剰余金 | 250 | 土地 | 250 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
非支配株主持分 | 50 | 利益剰余金(非支配株主に帰属する当期純利益) | 50 |
また、×1年度同様、個別上の仕訳を連結上あるべき仕訳に修正するため、連結修正仕訳を計上します。
<×2年度に新たに計上する連結修正仕訳①(未実現利益の実現)>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | 250 | 土地売却益 | 250 |
貸方に「土地売却益」がくることで、利益が増加した(=未実現利益が実現した)ことを表します。
さらに、S社の利益が250円増加したので、非支配株主への利益の振替を行います。
×1年度同様、「非支配株主への利益の振替」を忘れないようにしてください。
非支配株主に帰属する当期純利益=増加した利益250円×非支配株主持分比率20%=50円
<×2年度に新たに計上する連結修正仕訳②(非支配株主への利益の振替)>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
非支配株主に帰属する当期純利益 | 50 | 非支配株主持分 | 50 |
借方の「非支配株主に帰属する当期純利益」は、非支配株主の利益のプラスを表します。
以上をまとめると×2年度の連結修正仕訳は次のようになります。
<×2年度の連結修正仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
利益剰余金 | 250 | 土地売却益 | 250 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
非支配株主に帰属する当期純利益 | 50 | 利益剰余金 | 50 |
アップストリームの場合、赤字部分の仕訳がダウンストリームに追加で必要となります。
「未実現損失の消去(土地)」の例題(アップストリーム)
例題
<×1年度>
- ×1年度にS社(P社の80%子会社)はP社(親会社)に原価750円の土地を500円で販売した。
- P社は×1年度末(×2.3.31)現在、S社から購入した土地を保有している。
<×2年度>
- ×2年度にP社はS社から購入した土地500円を1,300円で外部に販売した。
×1年度と×2年度の未実現利益に関する連結修正仕訳を答えよ。
<「未実現損失の消去(土地)」の連結修正仕訳の目的>
- 未実現損失の分、土地の金額が過少になっているので、「土地」(資産)を増やす
- 土地の売買の結果生じた損益を消去するため、「土地売却損」(損失)を減らす
ここでは、アップストリームを解説しますが、「非支配株主への損失(マイナス)の振替」仕訳(赤字部分)が追加される以外はダウンストリームと同じです。
×1年度の連結修正仕訳
①×1年度の個別上の仕訳
土地を売買した時のP社とS社の個別上の仕訳は次の通りです。
<P社の個別上の仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | 500 | 現金 | 500 |
<S社の個別上の仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 500 | 土地 | 750 |
土地売却損 | 250 |
②×1年度の連結上のあるべき仕訳
P社とS社の間の土地の売買は内部取引であり、企業グループという一つの組織で見ると、土地を持ち続けていることに変わりはありません。
そのため、「連結上あるべき仕訳」は「仕訳なし(=土地の売買は行われていない)」となります。
<連結上あるべき仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕訳なし |
③×1年度の連結修正仕訳
個別上の仕訳を連結上あるべき仕訳に修正するため、連結修正仕訳を計上します。
<×1年度の連結修正仕訳①(未実現損失の消去)>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | 250 | 土地売却損 | 250 |
単純に、未実現損失の金額250円をそのまま持ってきてもOKです。
また、S社の土地売却損が250円減る(=S社の利益が250円増える)ため、消去された損失(=利益)250円を非支配株主に振り替える仕訳も必要になります。
「非支配株主への損失マイナス(=利益)の振替」は、アップストリームの場合には追加で必要な仕訳なので忘れないようにしてください。
非支配株主に帰属する当期純利益=増加した利益250円×非支配株主持分比率20%=50円
<×1年度の連結修正仕訳②(非支配株主への損失マイナスの振替)>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
非支配株主に帰属する当期純利益 | 50 | 非支配株主持分 | 50 |
借方の「非支配株主に帰属する当期純利益」は、非支配株主の損失のマイナス(=利益)を表します。
×2年度の連結修正仕訳
①×2年度の個別上の仕訳
P社の個別上は、土地の原価をS社からの購入価額500円と考えるため、P社の個別上の土地売却益は次の通りです。
個別上の土地売却益=外部への売価1,300円-原価500円=800円
そのため、P社の個別上の仕訳は次の通りです。
<P社の個別上の仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 1,300 | 土地 | 500 |
固定資産売却益 | 800 |
P社の土地の原価は、S社からの購入価額500円です。
②×2年度の連結上のあるべき仕訳
連結上は、土地の原価をS社の原価750円と考えるため、連結上の土地売却益は次の通りです。
連結上の土地売却益=外部への売価1,300円-原価750円=550円
そのため、連結上あるべき仕訳は次の通りです。
<連結上あるべき仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 1,300 | 土地 | 750 |
固定資産売却益 | 550 |
連結上の土地の原価は、個別上の原価500円+未実現損失250円=750円と考えてもOKです。
③×2年度の連結修正仕訳
×2年度の連結修正仕訳は、×1年度の連結修正仕訳(開始仕訳)と×2年度に新たに計上する連結修正仕訳の合算で求めます。
まず、開始仕訳として、×1年度の連結修正仕訳の「貸倒引当金繰入額」を「利益剰余金」に置き換えて引き継ぎます。
開始仕訳も「非支配株主への損失マイナス(=利益)の振替」の仕訳を忘れないようにしてください。
<開始仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | 250 | 利益剰余金 | 250 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
利益剰余金(非支配株主に帰属する当期純利益) | 50 | 非支配株主持分 | 50 |
また、×1年度同様、個別上の仕訳を連結上あるべき仕訳に修正するため、連結修正仕訳を計上します。
<×2年度に新たに計上する連結修正仕訳①(未実現損失の実現)>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地売却益 | 250 | 土地 | 250 |
借方に「土地売却益」(=収益のマイナス)がくることで、損失が増加した(=未実現損失が実現した)ことを表します。
さらに、S社の損失が250円増加したので、非支配株主への損失の振替を行います。
×1年度同様、「非支配株主への損失の振替」を忘れないようにしてください。
非支配株主に帰属する当期純利益=増加した利益250円×非支配株主持分比率20%=50円
<×2年度に新たに計上する連結修正仕訳②(非支配株主への損失の振替)>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
非支配株主持分 | 50 | 非支配株主に帰属する当期純利益 | 50 |
借方の「非支配株主に帰属する当期純利益」は、非支配株主の損失のプラス(=利益のマイナス)を表します。
以上をまとめると×2年度の連結修正仕訳は次のようになります。
<×2年度の連結修正仕訳>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地売却益 | 250 | 利益剰余金 | 250 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
利益剰余金 | 50 | 非支配株主に帰属する当期純利益 | 50 |
アップストリームの場合、赤字部分の仕訳がダウンストリームに追加で必要となります。
「成果連結「未実現損益の消去(土地)」まとめ
「未実現利益の消去(土地)」の連結修正仕訳の目的は次の2点です。
<「未実現利益の消去(土地)」の連結修正仕訳の目的>
- 未実現利益の分、土地の金額が過大になっているので、「土地」(資産)を減らす
- 土地の売買の結果生じた損益を消去するため、「土地売却益」(収益)を減らす(=利益を減らす)
結果的に、「未実現利益の消去(土地)」の連結修正仕訳は次の通りになります。
<未実現利益の場合>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地売却益 | ××× | 土地 | ××× |
また、「未実現損失の消去(土地)」の連結修正仕訳の目的は次の2点です。
<「未実現損失の消去(土地)」の連結修正仕訳の目的>
- 未実現損失の分、土地の金額が過少になっているので、「土地」(資産)を増やす
- 土地の売買の結果生じた損益を消去するため、「土地売却損」(損失)を減らす
結果的に、「未実現損失の消去(土地)」の連結修正仕訳は次の通りになります。
<未実現損失の場合>
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | ××× | 土地売却損 | ××× |
土地の場合は、未実現利益(「土地売却益」)や未実現損失(「土地売却損」)をそのまま消去しているだけなのでわかりやすいです。
なお、未実現利益の場合で、棚卸資産の未実現利益の消去と連結修正仕訳を比較すると次のようになります。
- 棚卸資産の場合⇒費用(「売上原価」)を増やすことで未実現利益を消去
- 土地の場合⇒収益(「土地売却益」)を減らすことで未実現利益を消去
<「未実現利益の消去」の連結修正仕訳の比較>
棚卸資産 | 土地 | |||
貸方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
仕訳 | 売上原価 | 商品 | 土地売却益 | 土地 |
意味 | 「売上原価」(費用)を増やす(=利益を減らす) | 未実現利益の分、期末商品の金額が過大になっているので、「商品」(資産)を減らす | 「土地売却益」(収益)を減らす(=利益を減らす) | 未実現利益の分、土地の金額が過大になっているので、「土地」(資産)を減らす |
費用を増やすか(棚卸資産の場合)、収益を減らすか(土地の場合)の違いだけです。
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