簿記検定についての概要がわかったところで、簿記検定に必須の電卓を準備しましょう!
電卓の機能で必要なものは何?
電卓はどんなものがおすすめ?
電卓の操作方法はどうすればいい?
電卓を準備しよう!
簿記検定では電卓が使える!
簿記検定では電卓が使えます。
学校の試験のように紙に筆算を書いて数字を足し引きして…なんてやらなくていいんです!
数字の計算能力ではなくて簿記の知識を問う試験なので、当たり前といえばそうなんですが、僕も初めての頃は「電卓使っていいんだ!」と少し感動しました。
なお、電卓の代わりにそろばんも使用できますが、経験上そろばんを使っている人は見たことがありません。
電卓にはそろばんにはない便利な機能もたくさんありますので、必ず電卓を使いましょう。
ただし、電卓なら何でもいいかというと、そういうわけではなく、簿記検定で使える電卓には一定の条件があります。
また条件をクリアしても試験に適さない電卓もあります。
まずは簿記検定に適した電卓が何かを一緒に確認してみましょう!
こんな電卓はダメ!試験に持ち込みができない電卓
日本商工会議所によると、使用できない電卓について次のように規定されています。
計算器具(そろばん、電卓。どちらかを1つ)を使用しても構いません。ただし、電卓は、計算機能(四則演算)のみのものに限り、例えば、以下の機能があるものは持ち込みできません。
- 印刷(出力)機能
- メロディー(音の出る)機能
- プログラム機能(例:関数電卓等の多機能な電卓、売価計算・原価計算等の公式の記憶機能がある電卓)
- 辞書機能(文字入力を含む)
(注)ただし、次のような機能は、プログラム機能に該当しないものとして、試験会場での使用を可とします。日数計算、時間計算、換算、税計算、検算 (音の出ないものに限る)
「自分の電卓は大丈夫だろうか?」と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、逆にこれらの電卓を持っている人の方が少ないのでは?と思います。
ご自宅にある電卓はたいてい上記のような高度な機能は付いていないと思いますので安心してください!
使用できる機能として挙げられているもののうち、日数計算、税計算機能については後述しますね。
なお、関数電卓とは下記のようなものです。
工業高校や理系大学の授業や建築系、機械系、薬学系の職場で使うことがあるようです。
関数電卓(かんすうでんたく)は、四則演算以外に科学技術計算に関する計算機能を持つ電卓である。
製品の発展の歴史的経緯から、初期の製品が三角関数、指数関数、対数関数などの初等関数の値を数表に頼ることなく得られる機能を有したことから関数電卓と称される。 今日的な製品ではこれらの機能以外にも後述の各種計算機能を備える製品が流通している。
どこまでを関数電卓と言うのかは曖昧ですが、電卓のキーボードに「sin」「cos」「tan」「log」などの数学記号が付いているものは避けた方がいいです。
(下記で説明しますが、「√」が付いているものはOKです。)
こんな電卓も避けよう!試験に適さない電卓
上記の電卓以外なら何でもいいかと言うと、そういうわけではありません。
試験に持ち込みができても次のような電卓は避けた方がいいです。
- 手の平サイズよりだいぶ小さな電卓
- 電卓の文字が消えてしまっている電卓や電卓のキーが固まってしまってスムーズに打てない電卓
1点目の手の平サイズよりだいぶ小さな電卓とは、よく手帳やクリップボードに付属しているようなスマホサイズの小さなやつです。(たいてい電卓のキーがプラスチックではなく、ゴム製になっています。)
これは単純に小さすぎて打ち間違いが発生する可能性大だからです。
持ち歩くには便利ですが、試験や普段の学習では手のひらサイズ以上のものを使用しましょう。
また、2点目は自宅にある電卓でありがちですが、経年劣化で文字の識別が困難なものや、水やコーヒーなんかをこぼしてキーが固まってしまっている電卓も思わぬ操作ミス、計算ミスにつながりますので避けましょう。
こんな電卓を使おう!必須の機能、あると便利な機能
試験に持ち込めない電卓、試験に適さない電卓がわかったところで、「じゃあどんな電卓だったらいいの?」という点を解説します。
最低限必要な電卓の機能
下記の機能、キーが備えてある電卓を使いましょう。
- 「0」二個打ち機能(「00」のキー)
- 入力訂正機能(「▷」または「→」のキー)
- 符号切り替え機能(「+/-」または「+⇔-」のキー)
- メモリ機能(「M+」「M-」「MR」「MC」のキー)
- 表示桁数が10~12桁のもの
「0」二個打ち機能(「00」のキー)
「0なんてそんなのあるに決まってるじゃん!」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、「0」ではなく「00」です。
簿記の問題で出てくる金額は「500,000円」みたいな丸まった数字がほとんどです。
例えば、これを「0」キーだけで入力すると、当然「0」を5回打つことになります。
ところが「00」キーを使うと、「00」キーを2回、「0」キーを1回の計3回で済みます。
たかが数回の差ですが、試験では何十回も金額を電卓に打ち込みますので、「0」キーだけだとけっこうストレス溜まります。
入力訂正機能(「▷」または「→」のキー)
これ、ないとかなり不便です。
例えば、「12,345×6,789」と打ちたいところ、誤って「12,345×6,788」と打ってしまったとしましょう。
入力訂正機能がないと、クリアキー(「C」または「AC」)を押していったん全て消去してからもう一度「12,345×6,789」と入力することになります。
ところが、入力訂正機能がある場合は、わざわざ最初から計算し直さなくても、「6,788」の最後の「8」を「▷」(または「→」)で消して「678」にした後、「9」を入力すれば「6,789」に訂正できます。
(パソコンの「BackSpace」キーに近い機能ですね。)
特に長い計算の途中でミスタッチした場合、入力訂正機能がないと絶望します。
必ず入力訂正機能がある電卓を使いましょう。
符号切り替え機能(「+/-」または「+⇔-」のキー)
打ち込んだ金額を正の値から負の値、負の値から正の値に切り替える時に使います。
「(-100)+200」みたいな計算をする時に、このキーがないと「-100」の部分が入力できません。
(「200-100」としてもいいのですが、いちいち順番を並び替えるのは面倒です。)
こちらも付いているものを使いましょう。
メモリ機能(「M+」「M-」「MR」「MC」のキー)
「M」はメモリーの意味です。
長い計算式がある時に、途中で計算した計算結果を電卓内に記憶しながら計算を進めていく時に使います。
なお、「MR」は「MC」と一緒になって「MRC」となっていることもあります。
例えば、「100×200+300×400」みたいな計算をする時に、「100×200」→「M+」→「300×400」→「M+」→「MR」と打つだけで、計算できちゃう機能です。
(ちなみに「MC」は計算後、メモリに入っている計算結果140,000を消去する機能です。)
これがないと、
「100×200」→計算結果200,000を暗記またはメモ→「300×400」→計算結果120,000+「20,000」
となって、「100×200」の計算結果を暗記するかメモを取る手順を踏まないといけなくなります。
簡単な計算ならそれでもいいのですが、長い計算をするときにいちいち計算結果をメモしてたらけっこう大変です。
こちらも必須の機能です。
表示桁数が10~12桁のもの
電卓に何桁の数字まで表示できるかということですが、市販のものだと8桁から16桁ぐらいまでの物があるようです。
簿記検定の問題に出てくる個々の金額の桁数としては、百万円単位(7桁)あたりまでで、10桁以上が出てくることは正直ほとんどないのですが、問題によっては計算(特に掛け算)の途中で電卓の桁をオーバーしてしまうこともないとも言えないので、保険として10桁はあった方がいいです。
また今後実務でも使いたいという方でも、一企業の年間の売上がだいたい数十億(10桁)~数千億円(12桁)程度ですので、Max12桁ぐらいまで表示できれば十分かと思います。
ちなみに、僕は12桁の電卓を使用しています。
あると便利な機能
ここからは、必須ではないけれど、あると便利な機能を紹介したいと思います。
- 日数計算機能(「日数/時間」キー)
- 税計算機能(「税抜」「税込」キー)
- 平方根計算機能(「√(ルート)」キー)
- 静音機能(サイレントキー)
- 早打ち機能(2キーロールオーバー)
日数計算機能(「日数/時間」キー)
3級ではほぼ使いませんが、2級以降で利息の日割り計算をする時によく使う機能です。
例えば、年間300,000円の利息について、7月9日から9月30日までの日数分の利息の金額を算出したい場合、300,000円×(7月9日から9月30日までの日数)/365日で計算します。
この時に7月9日から9月30日までの日数を電卓で表示してくれる機能が日数計算機能です。
もちろん地道に日数を数えてもいいのですが、けっこう面倒な上に日数を間違えたりするので、この機能があると重宝します。
税計算機能(「税抜」「税込」キー)
あらかじめ税率を登録しておくと、キーを押すだけで税込価額や税抜価額、消費税額を計算してくれる機能です。
正直、消費税額を出すだけなら、直接税率を入力して計算してもそこまで手間ではないですが、例えば消費税率10%を掛ける時に「×」「1」「0」「%」の4つのキーを押さないといけないところ、「税込」キー(または「税抜」キー)を2回押すだけで税額が出るので、多少計算が速くなります。
また、税込価額から税抜価額を算定するときなんかは、×100/110としなければいけないところ、これも「税抜」キーだけで計算できちゃうので、けっこう便利です。
将来的に公認会計士や税理士を目指される方は、税法科目として消費税の試験でこの機能を多用しますので、こちらの機能がある電卓を準備した方がいいです。
一方、簿記検定では個々の取引で消費税を考慮すると問題がかなり煩雑になることから、「〇〇以外は消費税を考慮しない」とされていることが多いです。
簿記検定のみを受験される方はなくても問題ないでしょう。
平方根計算機能(「√(ルート)」キー)
平方根についての詳しい解説は省略しますが、例えば、4=2×2、9=3×3の場合、√を用いると、√4=2、√9=3となります。
2級までは全く使いません。
1級の原価計算の「経済的発注量」を求める時に使います。
ということで、2級までを目標にされている方は不要ですが、1級や公認会計士を目指す方はこちらの機能が付いている電卓を準備しましょう。
静音機能(サイレントキー)
特定のキーに関するものではなく、電卓の全体的な仕様に関する機能ですが、電卓を打ちこんだ時の音が静かなものです。
僕も経験があるのですが、自分ではなかなか気付きませんが、けっこう他人の電卓の音ってうるさく感じるんですよね。
公認会計士の勉強を予備校でしていた時も、電卓の音がうるさいことで有名な人がいました…。
静音機能が付いた電卓であれば、予備校の自習室や図書館など静かな場所で自習する際や、実際に試験を受ける時に、周りの人に迷惑をかけません。
もちろん、電卓がうるさいかどうかは、その人の電卓のたたき方によるところも大きいので、必ずしも静音機能が付いた電卓である必要はありません。
早打ち機能(2キーロールオーバー)
電卓の操作に慣れてくるとけっこう早く電卓をたたけるようになるのですが、通常の電卓は先に押したキーが元の位置に戻ってからでないと、次のキーを押しても入力できないようになっており、電卓が指に追い付かなくなってきます。
この場合、自分では正確に打っているつもりでも電卓が認識しないため、入力ミスが発生したり、操作スピードを下げないといけなくなります。
一方でこの機能があると、先に押したキーから指が離れる前に、次のキーを押しても入力できるため、スピードを維持したまま電卓をたたくことができます。
とはいえ、通常の電卓だと入力ミスが多発するかというと、そんなこともないので、電卓の操作に慣れてからこの機能が付いた電卓を購入するのもありだと思います。
それぞれの機能の使い方
各機能の使い方については、こちらのサイトがわかりやすいと思うので参考にしてみてください。
おすすめの電卓を紹介します!
さて、ここからは僕がおすすめする電卓を紹介したいと思います。
ちなみに、電卓はメーカーによってキーの配列が違うので、できればメーカーごとに実際に使ってみて、使いやすいと思ったキー配列の電卓を購入するといいと思います。
CASIO JS-20DC-N
こちら僕が使っている電卓の後継機です。
(僕が現在も使っている前の機種JS-20DTはもう販売されていないようです。)
値段は楽天価格で8,100円と電卓にしては高級な部類ですが、公認会計士試験の勉強から実務までこの電卓(の前の機種)で対応してきました。JS-20DC | CASIO
10年ほど使用していますが、特に故障等もなく使えていますので、かなり耐久性もあると思います。
また、上記で解説した機能はすべて備えており、操作感も抜群でストレスフリーです。
カシオ製の電卓のキー配列が気に入った方はこの電卓を購入するといいと思います。
「電卓にお金かけるなんてもったいない!」と思われるかもしれませんが、今後実務でも使っていくことを考えると、この機能性・操作性・耐久性でこれくらいの値段なら十分元が取れると思います。
もちろん、最初は自宅にある電卓を使って、電卓の操作に慣れてきたら自分好みのものに買い替えるのでも構いません。
ただし、電卓が変わると操作感がかなり変わりますので、試験直前の買い替えは避けましょう。
SHARP EL-N942-X
この電卓も使っている人けっこう見かけます。
値段も3,500円程度と、上記のCASIO JS-20DC-Nに比べるとかなりお手頃で、こちらも上記で解説した機能はすべて備えています。実務電卓(ナイスサイズタイプ) EL-N942-X:シャープ (jp.sharp)
ただし、友達がこの機種をもっていましたが、CASIO JS-20DC-Nに比べると若干静音性は低いようです。
とはいえ物凄く気になるというほどではなく、その他の機能性は十分なので、シャープ製の電卓のキー配列が気に入った方はこの電卓を購入するといいと思います。
僕が公認会計士試験の勉強をしていた頃は、予備校で販売されていた電卓はたしかこの機種だったと思います。
電卓の使い方をマスターしよう!
これまで電卓そのものについていろいろと見てきましたが、ここからは実際の電卓の使い方を確認してみましょう。
電卓は利き手と反対側の手で操作しよう!
電卓というと人差し指1本で操作するイメージがあると思いますが、簿記検定では大量の数字を撃ち込まないといけないので、この方法だとかなり時間がかかってしまいます。
そこで、これからは電卓は机に置いた状態で、利き手の反対側の手の指3本~5本を使って入力できるように練習してみてください。
なぜ、利き手の反対側の手かというと、利き手は筆記用具を持っているからです。
電卓をたたく度にいちいち筆記用具を机に置くのは面倒なので、反対側の手で電卓を打つというわけです。
ちなみに、僕はCASIOの電卓を使っていますが、左手の親指以外の4本で電卓を打っています。
(基本は人差し指、中指、薬指の3本を使い、左下隅の「0」を打つ時だけ小指を使っています。)
慣れてきたらブラインドタッチに挑戦しよう!
最初は電卓のキーを見ながらで構いませんが、慣れてきたらブラインドタッチに切り替えてみましょう。
ブラインドタッチに慣れると、操作が早くなることはもちろん、キーの打ち間違い、計算ミスも減ります。
なぜなら打ち間違いをした時は指の感覚で違和感を感じ、「あ、今ミスした!」とわかるようになるからです。
ブラインドタッチとはいっても別途電卓用の練習問題等を使う必要はなく、簿記の問題を解いているうちに慣れてきますので、問題を解く中で自分なりの早打ちスタイルを確立しましょう!
これを読んだら、次の記事「教材を選ぼう!簿記3級のテキスト・問題集のおすすめを紹介!」に進みましょう!
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